Q&A
被害届を取り下げてもらうにはどうすればよいですか?
1 被害届を取り下げた場合の効果
被害届は、犯罪被害の事実を捜査機関に申告するものです。
捜査機関が捜査を開始するきっかけにすぎないため、被害届が取り下げられても、捜査機関が捜査を終了するわけではありません。
ただし、被害届が取り下げられたという事実は、被害感情の緩和を裏付ける事情となります。
そのため、事件化されずに終わることもあれば、不起訴処分に傾く有利な事情となったり、仮に起訴された場合でも量刑判断において有利な事情として評価されたりします。
2 被害届を取り下げてもらう方法
⑴ 真摯に謝罪すること
加害者の反省状況が分からないのに、被害者が被害届を取り下げることは考えにくいです。
そのため、真摯に反省しているのであれば、まずその気持ちを被害者に伝えるのが先決であると思います。
この点、加害者本人と直接面談して謝罪を受けることを希望される方もいれば、加害者と面談したくないという方もいます。
加害者との面談を望まない場合や、そもそも身柄事件で直接面談ができない場合には、郵送による謝罪文の受領の可否を被害者に確認します。
⑵ 示談
財産的損害や精神的損害について示談による金銭的補償を行うことで誠意を示し、被害感情の緩和を図ることが考えられます。
示談交渉の中で被害届の取り下げについても協議し、取り下げの同意が得られたら、示談条項に盛り込みます。
経験上、⑴の謝罪だけで被害届の取り下げまでなされるケースはあまりなく、⑵の示談による金銭補償まで必要となることが多いように思われます。
3 注意点
⑴ 被害届の取り下げについて書面に残すこと
被害届を取り下げる旨の回答が得られても、いつ取り下げられるか、捜査機関や検察官に適切に伝わっているかなど明らかではありません。
そこで、示談条項に盛り込むなど、被害届の取り下げについて何らかの書面に残すことが大切です。
⑵ 速やかに捜査機関や検察に提出すること
被害届取り下げの事情を不起訴処分に傾く有利な事情として考慮してほしいならば、その処分がなされる前に書面を提出する必要があります。
したがって、書面をとりつけたら速やかに提出するようにしましょう。
4 弁護士への相談・依頼
加害者本人が、被害者と接触を図ったり、被害届の取り下げを書面化することは事実上困難である場合が多いといえます。
したがって、被害届を取り下げてほしいとお考えの場合には、刑事弁護に詳しい弁護士に早めに相談・依頼されることをおすすめします。
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